19人が本棚に入れています
本棚に追加
「ご苦労。ここからは私が連れて行く。君は自分の持ち場に戻りなさい」
偉そうな軍人の声は、低く重かった。
しかし、門番二人の様に威圧する声ではない。
「はっ、失礼しますっ!」
最後にもう一度敬礼をすると、門番は来た道を戻って行った。
「付いて来なさい」
俺は無言で男の後に付いて行った。
外見もそうだが、中に入ると洋館という感じが更に伝わってくる。
テレビでしか見たことがないが、肖像画や鎧等が飾ってある。
肖像画には知らない顔が並んでいるが、恐らく偉い軍人だろう。
胸元にたくさんの勲章を付けている。
三分ほど歩くと、一つの扉の前で止まった。
中に入ると、学校の教室程の大きさの部屋であった。
机と椅子が一セット、中央にあるだけ。
それ以外には何もない、廊下に比べると華やかさがない。
だが、派手な場所より落ち着く。
「入りたまえ」
そう言って、男は机に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!