第一章

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「ご苦労。ここからは私が連れて行く。君は自分の持ち場に戻りなさい」 偉そうな軍人の声は、低く重かった。 しかし、門番二人の様に威圧する声ではない。 「はっ、失礼しますっ!」 最後にもう一度敬礼をすると、門番は来た道を戻って行った。 「付いて来なさい」 俺は無言で男の後に付いて行った。 外見もそうだが、中に入ると洋館という感じが更に伝わってくる。 テレビでしか見たことがないが、肖像画や鎧等が飾ってある。 肖像画には知らない顔が並んでいるが、恐らく偉い軍人だろう。 胸元にたくさんの勲章を付けている。 三分ほど歩くと、一つの扉の前で止まった。 中に入ると、学校の教室程の大きさの部屋であった。 机と椅子が一セット、中央にあるだけ。 それ以外には何もない、廊下に比べると華やかさがない。 だが、派手な場所より落ち着く。 「入りたまえ」 そう言って、男は机に向かった。
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