第一章

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「確かに死ぬ確率は高い。だが、方法は他にもあると思うが?」 「確かに、死ぬ方法はたくさんあります……」 一息入れる。 「正直何でもよかったんです、死ねれば。ただの気まぐれでお国の為に戦って死のうかと」 そう、気まぐれでしかないのだ。 電気屋でテレビを見ていたら、たまたま戦争についてやっていた。 国の為、地球の為に戦場で命を落とすやつが何万といる。 何かの為に死ねるのは、幸せなのでは……。 だから軍に入ろうとしたのかもしれない。 「どうせ死ぬなら、何もしないでいるよりは、何かの為に死ぬ方がいいと思っただけです」 男は目を開け、俺の目を見た。 鋭い目だな。 「迷いがない、か。これ以上無駄話を言っても無意味だ」 そう言って、机に二枚の紙を置いた。 「上記の内容を読み、サインをしてくれ」 俺は机に近づき、二枚の紙を持ち上げた。
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