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一応、愛想だけは振りまいておく。
「しかし――」
そう言って俺の腕を掴む。
態度が気に食わなかったか。
「こんな細い腕で国のために戦えるのか?」
確かに俺の腕は細い。
三年間サボってたからな、仕方がない。
筋力を確かめただけにしても、力入れ過ぎだろ。
骨が折れちまう。
「おっと悪い。加減ができなかった」
おどけた調子で言うと、口の端を歪めた。
どうやら歓迎されていないらしい。
「おい、遊んでないで中に入れ」
もう一人の門番が叫んだ。
いつの間にか、会話は終わっていた。
「これから俺が面会室まで案内する。黙って付いて来い」
こいつもだ。
こいつも見下したような、威圧する声。
俺は黙って頷いた。
「今度会う時は、愛想笑いを上手くしておけ」
門の中に入る直前、背中からそんな声が聞こえた。
俺は黙って前を向き、門番の後に続いて門の中に入る。
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