第一章

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一応、愛想だけは振りまいておく。 「しかし――」 そう言って俺の腕を掴む。 態度が気に食わなかったか。 「こんな細い腕で国のために戦えるのか?」 確かに俺の腕は細い。 三年間サボってたからな、仕方がない。 筋力を確かめただけにしても、力入れ過ぎだろ。 骨が折れちまう。 「おっと悪い。加減ができなかった」 おどけた調子で言うと、口の端を歪めた。 どうやら歓迎されていないらしい。 「おい、遊んでないで中に入れ」 もう一人の門番が叫んだ。 いつの間にか、会話は終わっていた。 「これから俺が面会室まで案内する。黙って付いて来い」 こいつもだ。 こいつも見下したような、威圧する声。 俺は黙って頷いた。 「今度会う時は、愛想笑いを上手くしておけ」 門の中に入る直前、背中からそんな声が聞こえた。 俺は黙って前を向き、門番の後に続いて門の中に入る。
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