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中に入ると、まるで別の世界に来たような、不思議な感じがした。
ヨーロッパの貴族なんかが居そうだが、そんな華やかな物じゃない。
緑はあるが、花がない。
季節の問題もあるかもしれないが、どことなく違う気がする。
人工的に作り出された不自然な空間、かな。
「あまりキョロキョロするな。みっともないぞ」
バレていた。
門番の背中を見ながら歩くこと数十秒。
建物の入り口に着いた。
そこには、一人の軍人がいた。
四十後半位だろうか。
顔の至る所に皺がある。
こういう偉そうなやつは、髭を生やしてると思ったんだがな。
綺麗に剃られている。
軍帽を深くかぶり、目が半分しか見えない。
その目は鷹の様に鋭く、俺の目を射抜いた。
「入隊希望者一名を連れてまいりました!」
敬礼をした後、大きな声で言った。
その声には若干、緊張の色が混じっている。
俺を見下しておいてこれか。
所詮、出世する事しか考えていない犬か。
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