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その日記は父親との会話でつづられていた。
2、3日分の日記を読んで、泣いてしまった。
書かれているのは全部俺のことだった。
最後のページから数日前の日記。
その日記だけ、俺宛だった。
あなたにずっと謝りたいことがあったの。
あなたがいじめられていたこと、ずっと知ってたの。
でも、私は弱い人間だからただ優しくすることしか出来なかった。
学校に行こうかとも思ったけど、行けなかった。
いつもあなたが優しい顔で「今日も楽しかった」って言ってたから。
だれにも言わずに頑張っているあなたを裏切れなかったの。
覚えてる?高校2年の頃。私は酔ってあなたに言ってしまったね。
「産んでごめん」って。
本当にごめんなさい。あの時は本当に思ったの。
あなたがこんなに辛い思いをしているのは私が産んだせいだって。
私はあなたを産んで本当に良かった。幸せだった。
だから、あなたにも幸せになって欲しい。
あなたなら幸せになれる。お願いだから、なって。
俺は驚いた。
まさか、あそこまで潰れていた母親がそんな事を覚えているとは思っていなかったから。
ずっとその事で悔やんでいたんだと思った。優しくとも少し陰のある笑顔は多分、その後悔から来てたんだろう。
号泣した。
どこからこんなに涙が溢れてくるんだろう?
死ぬ事を考えていた俺は思った。幸せになろうと。
「それでも生きて行こうと。」
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