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「どりゃぁぁぁぁぁ!!」
地響きが聞こえそうなくらいに湿った大地に踏み込むと、持っていた槍をイリーガルに向けて投擲する。
槍はぐんぐんとイリーガルに近づき、イリーガルの背中へ突き刺さる。
《グゥォオォオアォ!!》
表現しづらい声でイリーガルが咆哮する。その声は森全体に広がりそうなくらい、大きな物だった。
「う、うるせぇ!」
彼も堪らず耳を塞ぎ、その場にうずくまる。すると、イヤホンの通信が再び繋がる。
『よくやったと言いたいけど、痛みの余りに暴れてるじゃない!』
「仕方ないだろ、姐御!走りながら走るイリーガルを足止めするんだから、それくらいは了承して欲しいぞ!」
『だから、姐御って言うな!』
すると、彼のイヤホンからカチッと言う音が聞こえる。次の瞬間、イリーガルを流星のようなものが貫く。あれだけ暴れていたイリーガルが体を震わせながら動きを止め始めたのだ。
『麻酔弾を打ち込んだわ。体が大きすぎて眠らないけど、しばらくは動けないはずよ。ロウ、今のうちに!』
「了解!」
ロウは彼女との通信を切ると、上着の内ポケットから5枚の札を取り出す。そして辺りに転がっていた木の枝を拾い、異常な脚力でイリーガルの真上3メートル近くまで飛び上がる。
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