第一章

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「どりゃぁぁぁぁぁ!!」  地響きが聞こえそうなくらいに湿った大地に踏み込むと、持っていた槍をイリーガルに向けて投擲する。  槍はぐんぐんとイリーガルに近づき、イリーガルの背中へ突き刺さる。 《グゥォオォオアォ!!》  表現しづらい声でイリーガルが咆哮する。その声は森全体に広がりそうなくらい、大きな物だった。 「う、うるせぇ!」  彼も堪らず耳を塞ぎ、その場にうずくまる。すると、イヤホンの通信が再び繋がる。 『よくやったと言いたいけど、痛みの余りに暴れてるじゃない!』 「仕方ないだろ、姐御!走りながら走るイリーガルを足止めするんだから、それくらいは了承して欲しいぞ!」 『だから、姐御って言うな!』  すると、彼のイヤホンからカチッと言う音が聞こえる。次の瞬間、イリーガルを流星のようなものが貫く。あれだけ暴れていたイリーガルが体を震わせながら動きを止め始めたのだ。 『麻酔弾を打ち込んだわ。体が大きすぎて眠らないけど、しばらくは動けないはずよ。ロウ、今のうちに!』 「了解!」  ロウは彼女との通信を切ると、上着の内ポケットから5枚の札を取り出す。そして辺りに転がっていた木の枝を拾い、異常な脚力でイリーガルの真上3メートル近くまで飛び上がる。
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