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「総司令。俺がサボってる? 誰がそんなデマを流したんですか?」
相模は給料がかかると熱が入る特性らしい。
対する総司令――。左目を隠すほどの長い黒髪と、赤い右目をもつ外見30代の男性は、ため息をつきながら冷静に答える。
「櫻庭含む貴様の部下達だが? というか部下くらいしかいないだろう。デマとも思えん」
相模はそれで引き下がらずにまだまだ食らいつく。
「イリーガル浄化はちゃんとやってますよ」
「当たり前だ」
相模の言葉を一蹴する総司令。
「いや、それに、隊長がしっかりしてないから部下が皆で頑張ろうって気になるじゃないですか」
「屁理屈をこねるな」
明白な通り、総司令の方が相模より一枚上手のようだった、が。
「わかりました。じゃあ、俺が支部の視察行きます」
いきなりの提案に、総司令は目を丸くする。
「お前が仕事……? どういう風の吹き回しだ」
「心を入れ換えて働きますよ」
しっかりと総司令を見据えて真剣に言う相模。その瞳には一点の曇りすらない。
「じゃ、今から他支部に連絡入れてきますね。失礼します」
総司令室の重い扉が閉まり、総司令は数秒間何かを考えていた。
「アイツ視察と称してサボるつもりか!?」
時すでに遅し。視察の件は各支部に知れ渡っていた。
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