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南地方。
転移魔法を使いやって来た地は、太陽が地面を照りつけ、海が綺麗な自然豊かな土地だった。
相模は相変わらずの白コートで、ユウイと小雪は半袖の夏用制服を着て、細い道を歩く。
小雪は白髪をポニーテールに結い上げ、普通の下ろした状態よりは涼しそうだ。
「相模隊長、暑くないんですか? ずっとコート羽織ってますけど」
そんな状態でも汗一つかかない相模を見て、ユウイが聞いた。
「んー、暑いとか寒いとかってよくわからないんだよねぇ、あはは」
そう言って笑う相模に、ユウイは少しだけ違和感を覚えたが、南方支部が見えてきたことによりそれは緊張へと変わり始める。
「そんなに緊張しなくても、南方支部は気さくな連中だから大丈夫だよ。あ、副隊長が凄くてねぇ。十六歳の若さで副隊長の座に着いて……」
相模はユウイの緊張をほぐすようにそう言いながら、南方支部の中へ入る。
中には若い受付嬢が一人、カウンターの向こうに座っていた。
「本部からの視察です。メレ・アドレイド部隊長を呼んでもらえるかな」
相模はそう言いながら、自身が武器にしているようにみえるスマイルを放つ。受付嬢は顔を真っ赤にしてメレを呼ぶために受話器を手にとった。
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