南方支部―視察―

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「そういえばさ、他の隊員達は元気?」  その言葉を聞いてか聞かずか、走り寄ってくる身長が低めの少女。赤茶色の髪を腰まで伸ばし、青紫の瞳をしている。 「相模本部隊長、お久しぶりです」 「うん、久しぶりだねぇ……三ヶ月前の入隊式で招集された以来だっけか」  鵺は頷き、相模は鵺の変化に気づいたそぶりを見せるように瞳を少しだけ開いてから、笑顔で言った。 「あれ、鵺ちゃん身長少し伸びた?」 「ほ、本当ですか!?」 「うん、三ミリほど」  喜んでいいのか微妙なところだ、3ヶ月で三ミリは。 「ラー君ー! 身長頂戴ー!」 「無理」  鵺を軽く流すラディス。ラー君というのは、ラディスのあだ名だ。 「あれ? そっちの人達は……」 「あぁ、今年から入ったユウイ・メシアズと相模 小雪だ。ほら、挨拶して」  相模に促されるまま、二人は自己紹介を始める。
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