―C.D.―

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 一人の男が、ソファの上でアイマスクをして横になっていた。  まだ二十代前半だろうか。目を引くのは彼の髪色が白髪だということ。緑を基調としたブレザーの制服に、赤いネクタイを締めている。これが、本部の制服である。  白コートを掛布団代わりにしてすやすやと寝息をたてている男。起きる気配は全くない。  部屋は薄暗く、彼以外には誰もいないようだった。  ピピピピピ、とけたたましく目覚ましのような音が鳴り、彼は起き上がると同時にアイマスクを取りイヤホンを耳につける。そして、黒い小型の機械を口元に当て、応答の意を示す声を発した。  イヤホンから聞こえてくるのは、焦ったような声。 【相模部隊長! 聞こえるか相模! こちら櫻庭! 鳥型のイリーガルを発見した。お前今どこにいる? というか今何してんだ!】  相模、と呼ばれた男は頭にを掻きながら楽しそうな……否、人をバカにした声でその怒鳴り声に答える。 「あぁ、ごめん。今本部の会議室だよ。あ、爆睡してたよ、うん」  通信の相手がグシャリと、通信機を握りつぶしたらしい音で通話が切れてしまった。 「あはは……櫻庭は本当に野蛮だなぁ。さて、俺も行こうかな」  苦笑しながら白いコートを羽織り、跳ねた髪の毛を右手で気にしながら左手に持った青いチョークで【転移魔法】の【魔法陣】を描き、その陣が光を纏い展開すると共に、相模の姿が消える。
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