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「じゃ、浄化するから下がってよ、櫻庭」
相模の声色が一瞬にして冷静なものに代わり、白い紋様が施された巨大な魔法陣が展開された。
それは鳥型イリーガルを縛り上げ、黒い靄が辺りを埋め尽くすほどに広がり、だんだんと本来の白い翼が露になる。
そう、これが【浄化】である。
少しずつ、鳥の大きさは小さくなっていき、すぐに小鳥サイズとなり、小首をかしげながら五歳くらいの少女の顔を少しだけつついた。
翼は浄化の時点で元通りになっており、怪我もない。
「……う……あ、ピッピ!」
少女が小鳥の名を呼び、小鳥はその肩へ飛び乗った。
相模は少女の頭を撫でると、笑顔で少女に言う。
「もう安心していいからね。ピッピはもうあんな風にはならないから。捨てないであげてね?」
相模の優しい問いかけに、少女は頷く。
「痛いところはないかな? おっと、腕から血が出てるね。今お兄さんが治してあげるから」
相模はそう言って、小さい白い魔法陣を描き展開させる。
みるみるうちに少女の右腕の傷が治り、その現象に少女は驚いて目を丸くした。
それを見て、相模自身も喜んでいたようだ。
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