怪物の狂声と人間の恐声

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  「ええっ!? こんな朝早くからイリーガル退治なんですかぁっ!?」 第二班室とプレートが掲げられた部屋の中で、一人の少女が驚きからか声を上げた。 「すみません、この班が怪物狩りをすることは隊長直々の命令ですから」 司令塔から帰ってきたばかりのミカルは、自分のデスクから細長い鍵を取り出しながら少女の抗議に苦笑いする。 「う……、隊長命令ですか」 勇者の名がでた事に、早朝のイリーガル討伐作戦に対して不満満々だった、肩に掛かる程度まで伸ばした黒髪をポニーテールにした少女――鋼ヶ崎 聯 第二班所属上等兵は苦々しい表情を作って沈静した。 爛々と活力が籠もった二重の大きい瞳が印象的な、可愛らしい小振りな顔は彼女の、普段の気の強さを表している。 全体的にスレンダーで高くも低くもない、引き締まった躍動感溢れる身体。 「ミカル班長、イリーガルのタイプはキラーグレイと言っていましたが、それなら既に確認されたポイントから移動している可能性があるのでは? 奴らは獲物を求めて徘徊する習性がありますから」 そう何気ない会話のように言ったのは、空城 衡 第二班所属上等兵である。 彼の性格を表したような柔和で優しそうな顔をしており、それでいて決断力に長けていそうな透き通った目は若干垂れている。 髪型はやや短い整った黒髪で、彼の本質である清潔さや誠実さが見て分かった。 体躯は中肉中背だが、ある程度は鍛え上げられていることが見て取れる。
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