怪物の狂声と人間の恐声

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「すみません、やっぱり吉良さんが班長っていう印象のほうが強くて。別にミカルさんがどうってわけじゃないですけど」 空城が語調を落として言うと、 「それは単に俺が君達の新人期間を担当したからだと思うよ。最初にミカル君が班長をやっていたら感じる事も違うし、ミカル君が班長のほうが良いと俺は思うな」 吉良は柔らかに返した。 吉良は昇任審査に合格し、上等補佐官になった今年の年頭まで、第二班の班長を務めていた。空城達にとっては新人期間の一年間を第二班で共にしたこととなる。 「第二班、装備使用の許可を命ずるので、早急に準備をして下さい」 空城が口を開く前に、ミカルの実直さが分かる落ち着いた声が聞こえた。 三人がそちらに顔を向けると、自分の何倍もあるコンテナと言っても過言ではない巨大な鉄箱を背負ったミカルがいた。
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