怪物の狂声と人間の恐声

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「……準備を」 これ以上は埒があかないと判断し、コンテナを開けて命令するミカル。 その雰囲気は、全財産を失って浮浪者になったような朦朧とした陰りがある。 ミカルがコンテナを開けると同時に直属の部下に呼ばれた吉良は、自分の自嘲気味な言葉に不満げな二人に、軽く手を掲げる敬礼をすると立ち去っていった。 「第二班各員、集合っ! 装備兵装を確認した後に、迅速に装備しろ! ライフルの安全装置の確認は怠るなよ!」 いつの間にか近くにいた空気のように存在が希薄な第二班副班長が、ミカルに代わって声を張り上げる。 それに焚き付けられたのか、第二班の隊員達は展開したコンテナから、粛々と武器の数々を取り出して装備していった。 コンテナ内に入っていた、対イリーガル用八八軽装と括られた武器は、長銃身木製ライフル、短身二発式銃、汎用軽量剣、魔力感知ゴーグル他三点である。 これらの装備は目標が俊敏で、尚且つ激しい運動を有す戦闘時に用いられる。 普段は倉庫で厳重に保管されており、班長、上等補佐官などの上位階級者の持つ鍵以外では取り出すことさえ出来ない。
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