怪物の狂声と人間の恐声

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――この世界、この巨大な大陸には魔力と呼ばれる、人知の域を越えた膨大なエネルギーが循環している。 魔力はそのエネルギーを人間の技術進化の糧となっただけではなく自然界にも甚大な影響を与えていた。 ここまでは先述の通りだが、魔力の干渉を受けてしまう事で姿を異形へと、凶暴な性情と驚異的な身体能力を有す個体に変化してしまう動植物の個体がいた。 それが、魔力の干渉により異形化した個体、【イリーガル】である。 イリーガルとなった個体は以前の性質を失い、殺戮と捕食を第一に行動するようになり、結果人間に被害を及ぼす事となった。 その人間にとって害悪であるイリーガルを駆除する任務を持って設立された組織が彼ら、【Le chasseur du dmon】。 通称【C.D】である。 C.Dはその目的から、大陸全土をカバーし、効率的にイリーガルを駆除出来るように本部基地を中央に置き、各方面に支部を置いていた。 その一支部、大陸北部に基地を置き、日々イリーガル駆除を行っている、ここ北方支部は他支部と比べて魔力を使役出来る隊員が少なかった。 その代わりに科学技術が数段発達しているのだが、その技術漏洩を防ぐ厳格な警備と相まってあまり他支部からの評判が良くない。 それ故、吉良の『北方支部の威信を守る』という言葉は相当の深みと重さがあるのだ。
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