怪物の狂声と人間の恐声

18/41
前へ
/95ページ
次へ
  「――では各班、ノアボックスに搭乗! それ以降は即時の指揮をします! 迅速な対応を宜しくお願いしますよ!」 吉良は笑みを崩さずに言葉を紡いだ。 しかしその語気は強い。 隊員達は言葉の直後に、門下に停車しているノアボックスの、既に扉が開けられていた後部荷台へと搭乗していく。 その動きは余分な動作一つ無い。 ――第二班、と機械的な文字が塗装されたノアボックスに搭乗した、ミカル達。 荷台内部には装備を把持することが出来るハンガーと、横になって休める程のスペース、そして据え付けの椅子があった。 「吉良上等補佐官の搭乗する、第一班のノアボックスに倣って発進して下さい」 「了解しました」 運転席とは荷台奥の可閉式の窓を通じて会話する事が可能で、ミカルは運転手である第二班副班長にそう連絡した。 やがて、低い地鳴りのようなエンジン音が聞こえ、自分達の体に一定のテンポで特有の振動が伝わる。 「発進したんだ……」 空城が、呟いた。
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加