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「二班と三班がこれより徒歩でのポイント移動及び索敵を開始。一班と俺は一班用ノアボックスに搭乗して徒歩部隊後方で控えるので、四班はここで待機」
ノアボックスから先輩が出てきたと同時、拡声器を通して吉良の命令が聞こえた。
無言の返事をして、隊員は行動に移る。
「イリーガルのタイプは基地で言った通りキラーグレイですから、充分に気を付けて下さい。全ての行動は冷静に、会敵するまでは絶対に隊列を崩さないで下さい」
隊列を組み終わった第二班の班員に注意を促すミカルの言葉は、何度聞いたことだろうか。数えたことはないが。
「あれ、メガネ副班長はいないんです?」
まだ使用する状況ではないので額にゴーグルを上げた状態で掛け、両手でしっかりとライフルを把持している準備万端イエーイな鋼ヶ崎が、ミカルと同じように部下達へ注意をしていた森田にそう問い掛けた。
「ん? ああ、奴なら単独で東部地区へ調査に行ってる。所謂、お忍びゴーゴーだ」
振り返って答える森田。戦闘服を着ていてもサングラスは外していなかった。
森田がサングラスを外した姿を見た者は誰も居ないらしい。恐らく真実。
「お忍びゴーゴー……ですか」
「聞かなかったことにしてくれ」
多分真顔の森田。
言葉のセンスが無いことは自他共に認めているらしく、それでも発言を自重しない事がタチを悪くしていた。
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