怪物の狂声と人間の恐声

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「それはさておき、メガネ副班長も大変なんですね。なんで森田班長は何時もぐだぁっとした暇人なんですか?」 「鋼ヶ崎、その憐憫の目はなんなんだ。そして、呆れたように溜め息を付くなよ。班は違えど俺は班長だぞ」 「被害妄想は止めて下さい。私がそんな事を、いくら森田班長だからってする訳ないじゃないですか」 テンポ良く会話する二人。 鋼ヶ崎は至って冷静に、森田は若干オーバーな反応を交えながら言葉を紡ぐ。 「出発しますから、会話を慎んで下さい」 それをミカルの困ったような声が遮った。 その声に慌てて向き直る鋼ヶ崎に森田は失笑したが、ミカルに睨まれたので慌てて第三班の指揮に移る。 「森田さん、あなたは仮にも第三班班長なんですから、規律を守るような行動をして下さいよ」 「サーセン、……すみません、気を付けますから銃を下ろして下さい」 ――このままじゃ、俺はミカルに殺されてしまうのではなかろうか。 危機本能が大音量でアラームを鳴らし始めた為、森田は状況を変化させようと、 「第二班、第三班、準備完了! 吉良上等補佐官、指示宜しくお願いします!」 吉良に指示を頼んだ。
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