怪物の狂声と人間の恐声

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キラーグレイ――灰色の殺し屋には銃弾さえも弾く硬度を誇る皮膚があったからだ。 強靭な皮膚は膨大な魔力によって“緊張”することで硬度を保つことが出来る。 見張り役は、皮膚が緊張状態に入っていなかった為に銃弾を浴び、絶命したのだ。 だが、その他のキラーグレイは違う。 見張り役の犠牲によって人間に気付いた彼らは、即座に身体内で魔力を循環させて皮膚を緊張状態にさせる事が出来た。 それ故、隊員達は正確で尚且つ大胆な射撃を続け、キラーグレイを近づけさせないようにする事が精いっぱいだった。 だがその行為は、接近攻撃しか出来ないキラーグレイ達にとって最も効果的である。 それに市場に出ている護身用、または猟用の木製銃より戦闘特化された、隊員達のライフルの弾丸はキラーグレイに致命傷を与えないにも、彼らの動きをその衝撃で硬直させる事が可能であるし、僅かながらであるがダメージを与える事も可能だ。 だから、このまま隊員達が訓練のように落ち着いて、如何なるキラーグレイの接近を許さない、機械のような射撃を続ければいずれ討伐は完了するだろう。
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