怪物の狂声と人間の恐声

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中庭を抜けて舗装された道を暫く進むと、沢山の白い塔が見えてくる。 その内の一つ、その中で二番目に高い建造物にミカルと森田は入っていった。 「何時来ても嫌ですね、ここ」 「嫌~ん、まいっちんぐってか?」 「…………そうですね」 エントランホールに入ると見えるのは、部屋の中央を貫く螺旋階段。 これがこの第二司令塔で唯一他階に移動できる手段であり、ここを利用する隊員の悩みと疲労の種である。 森田の寒いギャグですっかり会話の種が無くなった二人は、無言で永遠に伸びているのではなかろうかと思うほど長い螺旋階段を登っていった。 そうして、登ること数十分。 彼らは第二司令塔の八階に着いた。 そこの階には網目状に部屋が張り巡らせてあり、まるで迷路のようになっている。 ここに三番会議室があるのだ。 「さて、行くか」 「そうですね」 疲労と陰鬱が声から分かる。 森田はネクタイを締め直すと先に歩いていった。それにミカルが続いていく。 ここには何度も来ているために、不本意ながらも部屋の配置は全て記憶している二人はコツコツと靴の音を響かせて白い廊下を進んでいった。 そうして歩くこと数分。 二人は三番会議と乱暴に書かれた茶色い木製の扉の前にいた。
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