楽屋にて

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 三谷光は楽屋に備え付けられているソファに脱いだ衣装を放り投げ、ため息をついた。  彼女は少し前まで舞台の上で激しいスポットライトを浴びていたため、汗まみれになっていた。今日はまだリハーサルだとは言え、出来る限り本番に近い状況で確認をする必要があるからだ。  とはいえ、彼女にとってスポットライトを浴びることは仕事の一つではあるし、そのこと自体は嫌いではなかった。それどころか、舞台に立つことは自分にとって天職であるとさえ思っていた。しかし、舞台が終わった後にあふれるこの汗だけには辟易していた。
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