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他の人達は、汗をかかないのだろうか? と疑問に思ったこともあったが、それを聞く事は彼女のプライドが邪魔をした。汗っかきだなどと思われるのは我慢が出来ない。だから彼女は舞台が終わった後は誰も楽屋に近づかせなかった。
光は楽屋に用意されていたタオルで体の汗をぬぐいながら、壁一面に貼られている姿見に映る自分の姿を眺めた。
均整のとれた肢体がわずかに熱を帯び、赤くなっている様子は自分が見ても見惚れてしまう。そして、この身体があるからこそ、自分は人気者になれたのだ、と信じていた。愛らしい顔と、それに不釣り合いな体躯、そのギャップが多くの人たちの心をとらえたのだと。
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