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休日の商店街を、買い出しの為に歩く。
俺の隣には、一緒に買い出しをしている一人の女がいる。通り過ぎる男の殆どが振り返る美人である。
しょっちゅう間違えられるのだが、彼女とかそんなんではない。そんな事あってたまらない。
そりゃ、この人は俺に対して物凄く好意を寄せてくれているし、モデルのようにしなやかな体型、髪は櫛が滑り落ちる程さらさら、化粧なんかしていないのにマイナスになるような要素が一つもない整った顔、服のセンスも良し、と見た目は完璧であるけれど。
でも、俺はこの人と付き合う事などできるはずがない。
「一君。」
「どうした?」
その女が急に立ち止まる。後ろの方を向いており、その視線を辿ると、二人組の女子高生がいた。そして、その二人を見ながら、そいつは口を開く。
「あいつら一君に色目使ってたからちょっと目玉くり抜いてくる。」
「息子の為を思うならいい加減止めんかい。」
付き合えるわけがない。この人は俺の実の母親であり、そしてヤンデレであった。
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