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紅零無(くれないれいむ)。それがこの人の名前である。前述のように完璧な見た目であり、二十代前半にしか見えない程若々しいが、実際は既に三十後半である。高校生になる俺の母親なので当然だが。
シングルマザーであり、女手一つで俺をここまで育ててくれた。その事には感謝をしてもしきれない程恩を感じているし、尊敬もしている。
ただ、どうも愛情が深すぎる。外では自重してくれてはいるが、家の中では俺にべったりであるし、隙を見せれば布団の中に潜りこんできたり、風呂に突入してくる。
しかもだ。俺に女が近付こうとすれのを極端に嫌い、好意を向ける女を見つけよう物なら、二度とそうならないように残虐的に痛めつけようとする。友人いわく、ヤンデレとかいう物であるらしい。
「全く、ちょっとは我慢できないのか?」
「だって、私の一君に……」
ちなみに、外では自重してくれていると言ったが、自重してくれるようになるまで中学三年間丸々かかった。小学生のうちはいいや、と思っていたのが間違いだったのかもしれない。
「あ、あの女も一君の事見てる……。一君、すぐに済むからここで待ってて。」
「いや、行かせねえよ。」
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