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ようやく買い出しも終えて、家に帰る。俺達の住む家は、二人暮しであるにも関わらず、二階建ての立派な一軒家であり、正直二人で住むのには勿体ない気もする。昔はすぐ近くに見える、家賃格安のボロアパートに住んでいたのだが、俺が十歳になる頃に、この家に移った。本当かどうかはわからないが、俺に不自由させない為に頑張ったのだと言っていた。家一つというのはなかなかスケールが大きいが、多分本当だろう。
「一始さん、おかえりなさいです。」
玄関を開けようとすると声がかかった。確認せずともわかる。そこにいるのは、俺のクラスメートであり、俺達の家の隣に住んでいる女、黄金二目(こがねふため)である。いわゆる幼なじみとかいう奴だ。
「あんた、私の一君に近付くなと何回言えばわかるのかしら?」
当然のように、零無は病んだ表情で二目に迫っていく。この人も飽きないものだ。
「あんたこそいい加減一始さんから離れたらどうですか?お・か・あ・さ・ま。」
あぁ、ちなみに。二目は普段は大人しいのだが、なんか俺が好きらしく、零無に対してだけは物凄くどぎつい。
そして、もう何年も見てきたそれは、止めるのも面倒だからスルーした。
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