BAR 「スプラッシュ」に集う人々

5/20
前へ
/139ページ
次へ
「さぁ、座ってゆっくり話しましょ。忍くん、私、ビールね。おぐりんは?まだ飲んでいないようだけど」 「あ、私も……」 「じゃあビール二つで。おぐりん、そっちに座って」 仕切られてる……最後にきた奴に……。 私たちはいつもこんな感じ。役割分担がはっきりしていて、楽といえば楽なんだけど。 「それでそれで」 私たちはこそこそと話し始めた。マスターは気を使ったのか、 お料理のオーダーが入ったのか、厨房へと消えた。 長い長いまどかの話が終わると、 「ふーん」 風子は唸るように言った。 「なんだそれ。全然騙されてないじゃん。 どんな詐欺師かと期待してたのに……」 「えっだってさぁ。ひどいと思わない?私には、ずっとそばにいてくれって」 「ずっとそばにいておくれよ、俺のかわいい子猫ちゃんって言ってた男が、今は地元に戻って奥さんとラブラブカフェを経営してるって話……私な~んの不思議も感じないんだけど。おぐりんどう?」 「う~~ん」 「ラブラブカフェじゃないよ、マクロビカフェだって。二人の地元で開きたいって奥さんの夢だったらしい……私は忍から聞いた……私には親の介護のために地元に戻るんだって言ってたのよ、 おぐりん、どう?」 「うう~~ん」
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!

304人が本棚に入れています
本棚に追加