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「さぁ、座ってゆっくり話しましょ。忍くん、私、ビールね。おぐりんは?まだ飲んでいないようだけど」
「あ、私も……」
「じゃあビール二つで。おぐりん、そっちに座って」
仕切られてる……最後にきた奴に……。
私たちはいつもこんな感じ。役割分担がはっきりしていて、楽といえば楽なんだけど。
「それでそれで」
私たちはこそこそと話し始めた。マスターは気を使ったのか、
お料理のオーダーが入ったのか、厨房へと消えた。
長い長いまどかの話が終わると、
「ふーん」
風子は唸るように言った。
「なんだそれ。全然騙されてないじゃん。
どんな詐欺師かと期待してたのに……」
「えっだってさぁ。ひどいと思わない?私には、ずっとそばにいてくれって」
「ずっとそばにいておくれよ、俺のかわいい子猫ちゃんって言ってた男が、今は地元に戻って奥さんとラブラブカフェを経営してるって話……私な~んの不思議も感じないんだけど。おぐりんどう?」
「う~~ん」
「ラブラブカフェじゃないよ、マクロビカフェだって。二人の地元で開きたいって奥さんの夢だったらしい……私は忍から聞いた……私には親の介護のために地元に戻るんだって言ってたのよ、
おぐりん、どう?」
「うう~~ん」
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