6人が本棚に入れています
本棚に追加
誰もいない静かな教室。
夕方の太陽。
それを、反射する黒板。傷ついた床。
そして、一人。俺。
溜め息をつく。
目の前のパンフレットへの溜め息と、奴への溜め息。
まあ、後者は、どうにもならないので、置いておくとして。
部活動紹介パンフレットが俺の、テンションを低くしていた。
「自宅警備員育成部について。」
必要あるのか。これ。
さらに、次のページ。
「自宅警備員育成部は、普段閉鎖的な空間で、地球を守るために、戦っています。」
いません。全く戦ってなど、いません。俺は、超能力者では、ありません。
「自宅警備員の歴史。
最初の自宅警備員は、古代ローマにさかのぼり」
俺は、読む手を止めた。
何が、伝えたいのか、全く分からん。
発狂しそうだわ。
第一、紙が、もったいない。古紙回収で、トイレットペーパーにした方が682倍位有益だろう。
「はあ。」
俺は、また、溜め息をついた。
よし、このパンフレットを、跡形なく燃やそう。
俺は、焼却炉にむかって、歩き出した。
「それから、彼を見た者は、いない。(パンフレットあとがきより。)」
生きて帰れる事を、願った。
最初のコメントを投稿しよう!