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嵐の夜、仔犬を拾った
黒い毛の小さな仔犬
誰かがかけたのか
ジャケットにくるまれて
震えていた所を見つけた
抱いて、家に連れ帰り
タオルで拭いてやると
気持ちがいいのか
目を瞑って顎をあげる
「…お前、名前あんのか?」
答えるはずもないけれど
そう聞けば、
ビー玉みたいな瞳で
おれを見つめられた。
「名前ないなら、つけてもいい?」
「…わん」
まるで“いいよ”というように
小さく鳴いたから、
少しだけ吃驚しながらも
笑って頭を撫でた
「んー…ポチとかは?」
「……」
「…あ、だめ?」
あからさまに嫌な顔をするから
おかしくて、笑える
.
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