求めるモノ、消える自分

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――ピピピッ、ピピピッ ポチャン……プキュ~ 朝。リズミカルな目覚ましを止めて(息の根を)、ボク――野宮 悠(のみや ゆう)は目を覚ました。 眠たい目を擦りながら布団から這い出る。 時刻は6時30分。いつも通りの時間だ。 ボクはパジャマのまま一階の洗面所で顔を洗い。眠気を冷水で吹き飛ばす。 そして何気なく鏡に映る自分の顔を見る。 いや、正確には、顔ではなく自分の『表情』を、だ。 起きたばかりだというのに、その顔はまるでさっきからずっと起きていたみたいに無表情だ。 少なくとも眠たそうな、気怠い顔ではない。 まるで心を持たない人形のように、無表情の顔がそこにあるだけだ。 頬を摘んで横や縦に引っ張ってみるも。やはりというか何というか、その顔の『本質』が変わっていない。 人は例え笑顔を作っていても、その顔の内側から溢れ出る本質までは隠せはしない。 本質は必ず表情という皮からはみ出て、ポタポタと零れ落ち、必ずその表情の意味を他者に悟らせる。 だが、ボクの顔はどうだろう? 怒っていても、悲しんでいても、お首にも出さないボクの顔。 ……お首にも出せない、ボクの、顔。 ボクはそんな顔にコンプレックスを抱いていた。
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