422人が本棚に入れています
本棚に追加
顔を洗い終えたボクは、椅子にかけてあるエプロンを身に付け台所に向かった。
この家のことは全部ボクがやっている。
理由は、ボクの両親は二人とも海外で仕事をしている。
なのでボクは母さんの妹さんである。野宮 愛香(のみや まなか)さんのお家で居候させて貰っているのだ。
そして愛香さんは看護師のナース長を勤めていて。帰ってくるのが遅かったり、帰って来なかったりする時がある。
そのためボクは家事全般を覚え。この家の仕事を任されているワケだ。
……っと言っても、本当はこうやって家事をするぐらいしかないだけなのだが。
この無表情のせいで、ボクは周りから少し敬遠されている。
無表情なんか気にしない優しい人たちもいるけど。結局はそれだけ。
相手がどんなに優しくても、ボク自身がダメならそれはダメなのだ。
必死に喋ろうとしているのに、言葉が出ない。
頭の中ではこんなにも早く言葉が出てくるのに、いざ本番となり喋ろうとしたらまったく働かなくなる。
いや、働くには働くんだけど。なんていうか、こう、口が上手く動かなくなるのだ。
所謂、上がり症というやつ。悪く言えば、対人恐怖症。
それがボクのもう一つのコンプレックスだ。
最初のコメントを投稿しよう!