求めるモノ、消える自分

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「……それじゃあ。いっ、行ってきます」 「はーい。気をつけて行ってらっしゃいねー」 朝食を食べ終えたボクは、パジャマから学生服へと着替えた。 そして自分で作ったお弁当をカバンに入れ、未だモフモフと眠そうに朝食を食べている愛香さんに声をかけてから家を出る。 ドアを開けると、春特有の温かい風がボクを包み込んだ。 空は快晴。だけど風があって暑くはない。快適な天気だ。 そんなお日様の加護を受けながら、ボクはいつも通っている通学路を歩き出す。 愛香さんの家は学園から歩いて10分ぐらいの位置なので、近くて便利だ。 そしてこの辺りは、ボク以外の生徒は住んでいないらしく。一人で気兼ねなく登校できる。 心を落ち着かせられる数少ない場所だ。 だって学園に着いたら、ほとんど人がいっぱい居るところに居なきゃいけないし。 学園なんてボクから言えば箱庭みたいなものだ。 いつでもどこでも好奇の目で見られる。 たまったものじゃない。
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