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飛び散る肉片は君のモノ。
ガラガラになりながらも叫ぶ君はもう助からない。
胸部から腹部にかけて開かれた体には、ギッシリと詰まった内臓が綺麗に並ぶ。
皮膚が裂け、裂け目からどんどん溢れる鉄臭い赤。
光加減でキラキラと妖艶な明るい赤紫色へと変わる。
ばたつかせる手足も、先っぽから徐々に刻まれていく。
生暖かい感触の指は自由をなくす。
ゴリゴリと、あまり綺麗ではない音に混ざり次々に無くなる。
皮膚だけを器用に剥ぎ取る繊細な腕を持つのは、きっとこの生き物が生きたままの方が美味しいと理解しているから。
メインディッシュだろうか。
ズラリ並んだ内臓に手を伸ばす。
強烈に鼓膜を刺激する断末魔と呼ばれる叫び声。
甲高い叫び声にも、うなるような低い声にも聞こえた。
無理矢理引きちぎる。
腹部にグニャグニャと折り畳まれた腸は、いろんな角度から引っ張られ、噛み千切られる。裂けていく腸から出てくるのは臭い排泄物の匂い。
それにかまうことなく口へ頬張る。
…次々に伸びる手は、開かれた胸部の中に強引に。
ヌルヌルとする中身を引き上げる。
赤紫に光る血液が伝う繊維状の血管は、まるで蝶になるために作り出すマユのようにいくつもひしめきあう。
泣いても苦痛は和らげない。
助からない。
胃の中に溜まる酸っぱい液が口から絶える事なく流れ出した。
私は涙を浮かべ、君に背を向けた。
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