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平坦に続く道を私はひたすら走る。
隠れる場所なんて探すだけ無駄だ。
建物がズラリと並ぶ、いわゆる街と呼ばれる場所に私はいる。
背の高いビルの間をクネクネと止まらずに突き進む。
ぎゃぁああああ!!
赤い鮮血が霧となり宙へ舞う。
首を深く噛みちぎられた男は周りの「人の型」をした生き物を懸命に振りほどこうとする。
が。
奴らは個で襲うことなく、必ず集団となり、「食べ物」となる人間の周りを囲む。
ピラニアのような行動だ。
一体が試しに…という感じで噛みつくと、それに周りの奴らが反応する。
なんとも不思議な習性をもっているのだ。
私が見た奴らの数。
必ず5、6体はいるということ。
こんなビルに囲まれた街のなかで、5、6体ならまだ少ない方だろうか。
「人間」が「人の型」をした化け物に変わるのだから…。
首をえぐられた男もまた、化け物と変わるのだろうか。
フラフラと、男に伸びる手を避けながら逃げようとしている。
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