彼と彼女の物語

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--それは初デートのような。 「おお……普通です。普通の町です」 「普通じゃない町ってなんだよ」 いわゆる普通の町といえる、商店が建ち並ぶところに二人で来たバルドとミルフィ。ミルフィはキラキラと目を輝かせている。 「どこに行くんです?」 「とりあえず飯でも……おっと」 「あぅ……!」 バルドに何者かがぶつかりそうになって避けると、小さな女の子が転んで倒れた。 「なんだ?」 「なんだじゃありませんよっ!先輩が受け止めないから転んじゃったじゃないですか!」 「バルドをいじめちゃ、ダメー!」 「あれぇ!?」 五歳くらいの小さな女の子に、ポカポカと殴られるミルフィ。その後女の子はバルドの足にしがみついて、眉を怒らせミルフィを威嚇しだした。 「マユ、許してやってくれ。こいつも悪気はないんだ」 「わかったぁ」 バルドが女の子の頭を撫でると、渋々頷くマユと呼ばれた女の子。 「どうして私が悪いみたいになってるんですか!?騙されちゃ駄目だよマユちゃん!」 「バルドぉ、このおんなしょたいめんでなれなれしぃの……」 「先輩!あんたこんな可愛い女の子に何を教えたんですか!?この口の悪さは先輩並ですよぅ!?」 「いや……ただの行きつけの店の女の子だが」 「バルドをぐうぜんみつけたの。おかあしゃんのみせいく?やすいのやすいの。おきゃくさんつれてくなんてマユはしょうばいじょうず」 「ああ、マユは偉いな。寄らせてもらうよ」 「先輩に懐いているし、先輩が優しいという異常事態……まさかの天変地異の前触れですか……?」 そう宣いながらミルフィはバルドを探るような視線で見つめた。
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