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「やる気満々だな。俺は願いなんてホントはどうでも良かったんだけど……。俺のせいで死んだあいつを……。俺を救ってくれたあいつが生き返るなら……。今度は俺が救ってやると思ってね」
そう言いながらその影は自嘲するかのように笑う。
「負けるつもりはねぇぜ」
長剣を抜いて肩にかけ、挑発するように手招きした。
「上等だ。行くぞ!」
杖を構えて駆け出すもう一つの影、バルドは吠えた。
譲れないもの。それが叶えられるか守れるのか。
強い想いは甘美な幻想。強い力は血肉脇踊る躍動。
退屈な神々は二人を見て何かを思い出そうとする。そんな思惑など目の前の二人には関係ない。ただ想いを、大切な何かを守るため、その命を燃やす。
決闘は--
繰り出した武器の一撃に激しい音が響き、剣と杖がぶつかり合う。危機迫る表情で睨み合う二つの影。
--今始まった--
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