彼と彼女の物語

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◇ 「理解が出来ない。もう一度言え糞親父」 そう呟いたのは、金髪碧眼。男にしては長めで、左右非対称な長さの髪。百八十センチ程の長身。 目付きが悪いと取られかねられない程の鋭い、切れ長の瞳。整い過ぎたと表現できる程の恵まれた精悍な顔立ち。両耳に青の一センチ程の円形の小さな宝石のピアス。 口元は引き締まり、黒のローブに白のマントを身につけている。それはセントニア魔術学園指定の制服。 腰には年代物だと一目で分かる、古ぼけた細かな傷が見える木製の杖。長さで言えば一メートルないくらいだろう。 「バルド、一度で理解しろ。貴様にはとある生徒の指導を任せる。現在一年の少女だ」 そう返したのは彼と同じ金髪の中年の男。気真面目そうな引き締まった顔付き。身長は彼と同じくらいだが、筋肉質ながっしりとした体付き。髪は無造作に撫で付けている。 木造のとある部屋の中。二人は向き合いながら睨み合う。 「俺はこのセントニア魔術学園の生徒だ。何故教師の真似事をしなければならない?」 「決定権は貴様にはない」 高圧的なその物言いに、バルドは諦めたかのように目を閉じた。 それはいつもの始まり。 彼の父親である糞親父のお決まりの逆らえない言葉。 死の呪いに抗えない、バルドの憂鬱の連鎖。
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