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――それは出会い。
「成る程、あなたが孤高の魔術師バルド先輩ですか……私はミルフィと申します」
腰まで届きそうな青髪を無造作にゴムで後ろに縛っている。学園指定のこれまた色気のないローブの。服装はさておき、見た目は幼さが残る可愛らしい少女だ。そんな初対面の少女に向けて睨みを効かすバルド。
「待て、孤高の魔術師ってなんだ?」
バルドは問う。目の前の自分の生徒になる予定の少女に、聞き捨てならない言葉に対して問う。
「孤高の魔術師と言えば聞こえはいいですが、友達がいない根暗魔術師だそう……はふぁ!?」
バルドの蹴りが少女のお尻に当たり、少女は悲鳴をあげて尻餅をついた。驚いた様子だが、すぐに立ち上がり両の手を振り上げる。
「酷い!女の子を蹴るなんて酷いじゃないですか!」
「喧しい!誰が根暗魔術師だ!」
「だって学長が言ってましたよ?」
「お前な、心底不思議そうに言うな。しかしあの糞親父……」
怒りを募らせるバルドだが、少女は顎に指をやり思案顔になった。
「駄目です。やはりこうなったら私が更正させてあげないと……お母ちゃんも言ってました。ミルフィ、あなたは優しい子よと。よし、先輩!私が友達になってあげますから、その腐った性根をなんとかきゃあ!?」
真顔で宣うミルフィに、本日二回目のバルドの蹴りが問答無用で炸裂した。
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