ゼロ

5/10
前へ
/110ページ
次へ
存在理由…存在意義 存在理由…存在意義 存在理由…存在意義 何処にもない何処にも 青年はアテも無く、日増しに強くなっていく雨の中を歩き続けた どれくらい歩き続けたのだろうか? 全く知らない土地の知らない場所まで、来ていた 目の前には石造りの長い階段がある 青年は思った ここは高そうだ 飛び下りたら楽になるかな… 靴の中はすでに水で、ビショビショになっている。階段を一段、一段上がる度に何ともいえない感触が足の裏からする 階段を昇りきると、程よく手入れされた庭園が視界に映る 眺めが良く遠くの景色は、ビルの明かりがいつくも立ち並んでいる 見渡すとビニール傘をさして下を眺める、若い女がいる事に気がついた 女は靴を脱いでおり微動だにせずに、下を眺めている こんな場所で靴を脱ぐといったら 自殺 青年は思った 飛び降りろ… 誰かの不幸でも見ないと、自分が一番不幸だと思えてくる 心で思った事 今まさに目の前で行われつつある
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加