第2章

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 だが、燈は急に腕組みすると、大まじめな顔でブツブツつぶやき始めた。 「なるほど、念力かあ……あたしにもできるかなぁ?」 (あたしにも?)  怪訝に思った爽人は、いったん演技の手を止めた。 「あの、君らは……?」  それを聞くなり、少女は待ってましたとばかり手を挙げた。 「はーい! あたし、一年A組の穂室燈(ほむろ・あかり)! で、こっちが友達の深海碧(ふかみ・みどり)ちゃん! よろしくぅ♪」 「あ……よろしくお願いします」 「碧」と紹介された長い髪の女生徒が、行儀良くお辞儀する。 (ん? フカミ……?)  微かに引っ掛かるものを覚えた爽人だが、すぐに気を取り直して尋ねた。 「よろしく……ってことは、君らひょっとして」 「はいはーい! 入部希望者でぇーす!」  願ってもない女子部員の加入――しかも二名。 「本当に? いやー、そりゃ助かる!」  嬉々として叫んだ拍子につい手元が狂い、手の中に握り込んだピンポン玉――実は半分に切ったものを重ねていたのだ――がポトポト地面に落ちた。 「え? あああ~っ! 何よこれ、インチキじゃない~っ!?」  地面に散らかった「タネ」を見るなり、燈が顔を真っ赤にして怒り出した。  どうやら、爽人の言葉をストレートに信じ込んでいたらしい。 「いやその、インチキって……これマジックなんだけど」  困ったように説明する爽人だが、燈は納得がいかないのか膨れっ面で睨みつけている。  その時、おもむろにしゃがみこんだ碧が、タネを拾い集めて爽人に差し出した。 「『シカゴの四つ玉』――クロースアップ・マジックの古典ですね。指先のテクニックが難しいので、最近は演じる人が減っているそうですけど……」 「おっ? 君、なかなか詳しいね。もしかして経験者?」
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