第二幕―大地に現るはアジタート―

29/30
前へ
/366ページ
次へ
――道―― 歩きながら帰ろうとする刹那とアジタート。 そんな最中、ひとりの男から声をかけられた。 「……」 「ん?」 何か言われた刹那は男の方を見た。 男の隣には一人の綺麗で瀟洒(しょうしゃ)な少女がいた。 「バギーを、与えましょうかと、言いましたよ?」 「……」 何故この男が赤の他人である刹那にバギーを渡すのか、理解に苦しんだ。 「いつしか、与えますよ。不十分は、お嫌いですからね」 そう告げると、男は去っていった。 少女も、男について行った。 「刹那、どうした?」 彼らの背を見て立ちつくす刹那にアジタートが声をかけた。 恐らく、あの二人には気づいてはいない。 「何でもない」 刹那はそう告げて、足を動かした。
/366ページ

最初のコメントを投稿しよう!

62人が本棚に入れています
本棚に追加