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――道――
先ほど刹那とアジタートが通った道を歩く男と少女。
「さて、翌日待ちましょうか?」
男はそう呟いた。
少女はただビクビクしていた。
可憐だが、瀟洒とは言えない。
「大丈夫ですよ。あなたは私の物なのですから」
少女の頭をなでる男。
少女はそんな男を見る。
その瞬間少女は腰を抜かし、ガタガタと身を震わせていた。
涙も流していた。
怖い。
その感情が彼女を支配したのだろう。
「怖がる必要などありませんよ」
そう優しい丸みの帯びた声で接するも、少女は後退りするだけだった。
男の顔はさっきの丸みの帯びた声とは全く逆の、どの生物が見ても丸腰で逃げるほどの鬼の形相であった。
「やはり、笑顔は難しいですね」
先ほどの鬼の形相よりかは丸くなった顔をする男。
それでも、充分恐怖を感じる。
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