第三幕―新米ブリルランテ―

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――刹那の家―― カラッと晴れた天気。 綺麗に整頓された、一人暮らしの男性とは思えないマンション一室。 テーブルを布巾で拭くアジタートに、黒に近い紺色のスーツ姿の刹那。 「普段はラフなのにな」 「今日も面接だ。文句あるか?」 そう吐き捨てる刹那。 それを聴いたアジタートはテーブル拭きを中断する。 「文句はないが。それより今日も面接とやらか」 「ああ。ただ、バイト雇うだけなのになんで面接する必要があるかな……」 「不満そうだな、御主……」 話をしている最中、アジタートはスーツ姿の刹那をボーっと見る。 見られたことに気づいたのか、刹那はアジタートに訊く。 「ん? どうした?」 スーツを整える刹那。 「い、いや……。頑張れよ」 ハッと我に戻ったアジタートは、送るように手を振る。 「わかってる」 軽く手を振り、出る刹那。
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