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「今年の下級生少ないな、データ収集が楽だぜ」
「でしょうね。しかし皆さんさすがにお強いようですよ?」
とある廃墟の奥の部屋、そこで二人の中級生が話していた。
パソコンに向かってキーボードを叩く青髪と、それを見守る金髪。どちらも、表情を除けば顔がよく似ている。というか、瓜二つだ。
「烈空、また改造したんですか?」
「よくわかったな。いいか?技術ってのは日々進歩してる訳。この天才だって例外じゃあない。」
「進歩するのはいいですけど、そちらばかりに時間を割かないでくださいよ?只でさえ秀伊予は待つのが苦手なんですから」
「作者関係ねーじゃん」
「そっちじゃないです」
意味不明な会話をしながら、ちゃっかり作業は進めている辺り、自称天才なだけの事はある。
「ヤッホー!終わった?ねぇ終わった!?」
バァン、とドアが「倒れ」、黄緑のボサボサ頭が入ってきた。
「あ゛ーっ!!ま た お 前 か!!毎度毎度ドア破壊しやがって!」
部屋に大声が響いた。
入ってきたのは、またもや同じ顔の野生児。
「毎度毎度飽きませんね嗚呼守。」
「うん、また直しといてよ抱璃」
青い髪が烈空、黄緑の野生児が嗚呼守、黄色い髪が抱璃、と呼ばれる。声も顔立ちも同じだが、髪の色や服装、特に性格はだいぶ違うようだ。
「で、おわったの?」
「ああ、もう印刷するだけだ。」
大きく伸びをしながら立ち上がる烈空。
「さあ、伊予のとこいくよ?」
ドアがなくなった、壁に空いた四角い穴を潜る。
廃墟に住む、謎の中級生集団。なんとも言えない響きだが、正直うさんくさい。
「ほらよ、下級生のデータ纏めたぞ」
「思ったより早かったな。まああの人数だし当たり前かねぇ」
オレンジの髪のメガネ男は、偉そうなしゃべり方で資料を受け取った。
「伊予、こんなの必要あるのか?」
「あるぜ?ダーツの的とか」
「うし、わかった表出ろ」
光線銃を向けて伊予を睨む。怒るのも無理はない。つかこれ伊予が全部悪い。
「烈空、落ち着け。俺達は(悲しいことに)こいつに逆らったらいけないことになっているだろ。」
漆黒の髪の、顔の左半分が隠れるタイプの仮面をつけた男に止められる。
他にも水色、紫色、白や赤の髪の男がいた。奇妙だが、彼らは全員同じ顔に声。
廃墟の割れた窓ガラスが、夕焼けを反射した。
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