入学式って校歌歌いにくい

3/7
前へ
/11ページ
次へ
「今年の下級生少ないな、データ収集が楽だぜ」 「でしょうね。しかし皆さんさすがにお強いようですよ?」 とある廃墟の奥の部屋、そこで二人の中級生が話していた。 パソコンに向かってキーボードを叩く青髪と、それを見守る金髪。どちらも、表情を除けば顔がよく似ている。というか、瓜二つだ。 「烈空、また改造したんですか?」 「よくわかったな。いいか?技術ってのは日々進歩してる訳。この天才だって例外じゃあない。」 「進歩するのはいいですけど、そちらばかりに時間を割かないでくださいよ?只でさえ秀伊予は待つのが苦手なんですから」 「作者関係ねーじゃん」 「そっちじゃないです」 意味不明な会話をしながら、ちゃっかり作業は進めている辺り、自称天才なだけの事はある。 「ヤッホー!終わった?ねぇ終わった!?」 バァン、とドアが「倒れ」、黄緑のボサボサ頭が入ってきた。 「あ゛ーっ!!ま た お 前 か!!毎度毎度ドア破壊しやがって!」 部屋に大声が響いた。 入ってきたのは、またもや同じ顔の野生児。 「毎度毎度飽きませんね嗚呼守。」 「うん、また直しといてよ抱璃」 青い髪が烈空、黄緑の野生児が嗚呼守、黄色い髪が抱璃、と呼ばれる。声も顔立ちも同じだが、髪の色や服装、特に性格はだいぶ違うようだ。 「で、おわったの?」 「ああ、もう印刷するだけだ。」 大きく伸びをしながら立ち上がる烈空。 「さあ、伊予のとこいくよ?」 ドアがなくなった、壁に空いた四角い穴を潜る。 廃墟に住む、謎の中級生集団。なんとも言えない響きだが、正直うさんくさい。 「ほらよ、下級生のデータ纏めたぞ」 「思ったより早かったな。まああの人数だし当たり前かねぇ」 オレンジの髪のメガネ男は、偉そうなしゃべり方で資料を受け取った。 「伊予、こんなの必要あるのか?」 「あるぜ?ダーツの的とか」 「うし、わかった表出ろ」 光線銃を向けて伊予を睨む。怒るのも無理はない。つかこれ伊予が全部悪い。 「烈空、落ち着け。俺達は(悲しいことに)こいつに逆らったらいけないことになっているだろ。」 漆黒の髪の、顔の左半分が隠れるタイプの仮面をつけた男に止められる。 他にも水色、紫色、白や赤の髪の男がいた。奇妙だが、彼らは全員同じ顔に声。 廃墟の割れた窓ガラスが、夕焼けを反射した。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加