プロローグ

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「どうなんだよ」 「……待っ……」 あたしは一歩後ろに下がった。 「あんたが言ったんだ」 学ランを脱いだ白いワイシャツが、キラリと目に映る。 「………………」 彼は、更に一歩近付いた。 「俺を、助ける。できることはしてあげる。……そう、言った」 「言った……わ……」 また一歩下がると、ベッドにぶつかり弾みで腰がついた。 白衣がヒラリと舞う。 一瞬の隙を、彼は見逃さない。 あっ、と声を漏らした。 無人の保健室に、それが響く。
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