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校内。
───…保健室。
不謹慎な行為に、ベッドを使うなどあってはならない。
でも───…
目が反らせなかった。
あたしに覆い被さる彼。
肩の向こうに見える白い天井。
「保健室のセンセーとして?」
「え」
「それとも」
長い指先が、あたしの髪をすくように撫でた。
熱い眼差しは、すべてを見透かすように注がれる。
「……女として?」
答えられなかった。
言葉がでない。
だって
あたしは
捕らえられてしまったから。
こんなはずじゃなかったのに……。
それにあたしには
婚約者がいる。
彼を突き放さなくては
体勢を変えなければ
養護教諭として、と
言えばいいだけなのに
言葉がでなかった。
それは暑い暑い夏の日。
出会ってから
数ヵ月も過ぎる前の
夏。
君を
どうにかしてしまいそうで。
苦しくなった午後。
「………あたしは───…」
口を開きかけたとき、突然ガラリと音がした。
扉が開いたのだ。
身体が硬直する。
───マズイ。人に見られたら……
しかし、彼があたしを強く抱き締め、逃れることなどできなかった。
────だ
ダメ────…
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