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丘にのぼるには、東側の一本道を、歩くしかありません。
おかげで、お金持ちの観光客には不評ですが、とくに整備して馬車が通れる道を作ろうとは、誰も思わないようです。
夕日ヶ丘の上に行くには、誰もがひとしく、その足で歩いてのぼります。
今も、ひとりの身なりのよい青年がゆっくりと、丘の東の道を歩いています。
時刻は、昼を少々過ぎたばかり。
ふんわりした白い雲が、ゆっくりと流れていました。
青年は時折、空を見あげて、少し潮の香を含む風を吸い込みながら、丘のてっぺんを目指しています。
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