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美しい夕日で有名な、小さな丘。
そこには小さな小さなカフェがあります。
優しいマスターが、あなたのお好きな飲み物をいれて、歓迎してくれるでしょう。
その建物に近づくと、コーヒーのよい香がただよってきました。
興味を引かれた青年は、建物の海側にまわり込んで、少し驚きました。
『オープン・カフェ?』
カフェの海側には、壁がありません。
カウンターから、そのまま丘の草の上に、降りられるようになっているのです。
そればかりか、カフェからむこうが、ゆるやかな斜面で、ベンチやテーブルセットが、所々に設置されています。
それら全てが、海をむいて、夕日を見やすくしている上に、前の席がじゃまにならない、絶妙な間隔が空いているのも、青年は感心しました。
『…いらっしゃい』
『…っ!』
唐突にかけられた声に、青年は驚いて振りむきました。
丘の斜面にあるテーブルセットに、ちょっと夢中になっていた青年は、カフェのカウンターを、失念していました。
『お客さん?』
『はい…』
『ずいぶん気が早いですね。夕日の時間までは、まだ大分ある』
カフェのカウンターには、白髪の優しげな人がいました。
彼がここのマスターのようです。
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