昼下りのカフェ

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アイスティーを口に含むと、染みるように、口から喉へと、その味が広がります。 自覚するよりずっと、喉が渇いていたんだな、と青年は感じました。 カフェのカウンターにあるひさしが、眩しい昼間の日差しを遮り、海から優しい潮風が吹きぬけます。 『前も後ろも、右も左も、見わたす限り空の蒼…』 青年が呟きました。 『…青々としげる平野の作物は、風にゆれて海のように波打って』 青年が話している言葉は、彼にここを薦めた人の言葉でした。 『遠くに、空と溶けあうような、水色の山脈と…反対側にある海は、どこまでも群青…』 マスターは口を挟まず、黙って聞いていました。 『…そう聞かされていました。憧れてやまなかった…』 青年が何故か切なそうで、マスターは質問してみました。 『どちらから、いらっしゃいましたか』 『あ、僕は…南の国から』 『なるほど』 マスターが納得すると、青年は沈んだようすで、言いました。 『僕の国には、こんな風景はないから…最初は想像もできませんでした』
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