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愛菜は朝早く起き、山を歩きわたるのが日課。
別に山を歩くのが好きな訳じゃない。
四季折々にキノコやらタケノコやら生えてるものを頂戴することができるからだ。
そしてそれを山を越えた自分達を知らない遠い村に売りに行きお金にして、
服や他の食材を買ったりしている。
ただ、今の季節は食べるものがないので、薬草等をとるだけだ。
あ!家に帰ったら種まきしなきゃだった!!
多分結花もでっかい鍋で蒸しパンケーキでも作ってくれてると思うけど、
あれ火の調節がすごく難しいから早く戻ってやらないと。
そうこうするうちに山のてっぺんについた。
そこからの景色は、栄えている街がとても小さく見えた。
結花には内緒にしてるけど…こっからあの町も見えるんだよな…。
いつも、捨てられたときを思い出すが、それでもやっぱり一度として泣いたことはなかった。
置いていかれるとき結花も、
泣いていなかった。
小さい頃から隔離されて生きてきたあたしたち。
当時10才だったから施設に預けられるものだと思っていたけど、
実際そんなに甘くなかった。
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