普通だった日常

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これは世間様でいゔ魔法゙みたいなもの。 でも、私たち世界から見放されだ異端児゙はチカラと呼ぶ。 口のなかでシャリシャリと音をたてるのは氷。 二人はそれぞれチカラを持っていた。 愛菜は風のチカラ。 結花は氷のチカラ。 親や町の人たちは人外のチカラを持っている愛菜たちを忌み嫌い、 約六年前、人里離れたこの山小屋に私たちを置いていった。 戻ろうと思ったら戻れたかもしれない。 でもそうしなかったのは幼いながらにして自分達の存在を理解していたから。 自嘲的に笑う。 ちょっと昔のことを思い出していた愛菜に結花が喋る。 「そう言えば明日は愛菜の16歳の誕生日ですね。 愛菜の好きなケーキ、頑張って焼きますね。」 ニコリと微笑む彼女は、同い年とは思えないくらい落ち着いていて、愛菜は泣きそうになった。 「楽しみに待ってる。」 二人は外が完全に真っ暗にならないうちにお湯を沸かし、順番に入った。
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